先日,おこなわれた全国都道府県対抗男子駅伝で兵庫が優勝した。もちろん駅伝なので1人で勝照るわけではないのだが,その立役者となったアンカー・竹沢健介選手の走りは感嘆した。
アンカーは13km。タスキを受けた時は先頭と26秒差の5位。3位と3秒差,4位と2秒差だったので,すぐに逆転して3位に上がったが,ここからは決してあわてて追いかけなかった。竹沢選手の実績を知っている人なら当たり前のレースに見えたかもしれない。しかし,自分はここで一気に前とつめようとしない走りが素晴らしいと思ったのである。
中継時に3位だった東京は,すぐに逆転はしたものの,今年のニューイヤー駅伝で1区区間賞を取った若松選手。後半には追い上げてくるに違いない。さらに兵庫の後方19秒差でタスキを受けた栃木は注目の宇賀地選手。前との差も気になるが,後ろからの追い上げもあるプレッシャーのかかる位置で,自分のペースで歩を進め,じわじわと前との差をつめていったのである。
4km過ぎに2位に上がり,先頭まであと1人。このときの先頭との15秒差を約4kmかけて縮める。7.9kmで先頭に追いついてからも,一気には行かず,1kmほど並走して9km過ぎに一気に出た。まったく変わらない表情で落ち着いた走りであった。竹沢選手が表情を崩したのは,もう優勝をほぼ手中にしていたラスト500mである。後続を20秒以上離していたが,決して力を緩めることなく最後まで走り切り,区間賞をものにした。
まさに駅伝ランナーの理想の走りであった。強い選手だからそれができるのだと言われたらそれまでだが,竹沢選手も決して万全ではなかった。その中で落ち着いたレース運びができるところがやはり一流である。駅伝ではこの走りができる精神が必要である。
