今朝の練習は競歩の選手だけ,先にウォーミングアップをさせた。歩く練習は,走る練習よりもどうしても時間がかかる。今日,競歩練習をした選手は男女1人ずつの2名。来年は上位を狙いたい選手である。ただ,自分としては,競歩だけの特別な練習をするのはあまり好ましくないと思っている。そもそも,歩く練習を始めたのも,走能力を開発するためで,競歩をしようとは考えていなかった。走るための歩く練習をしていくうちに,競歩に適性がある者を競歩競技に出場させてきた。
今回おこなったのは,10kmをほぼ全力で歩く練習であった。競歩に取り組んでいるチームであれば何でもない距離であろうし,高校生でも10000mに出場している選手はいくらでもいるので,大したことはないのだが,本チームの選手は距離に抵抗を持っている。まだ10kmを歩く意識も力もない。ただ,10kmを走るのは何の抵抗もなくこなしてしまうので,それなら10kmを歩く経験をまず踏もうと思ったのである。
練習メニューは,マネジャーには準備のために先に話したが,本人たちにはギリギリまで告げなかった。そして,ウォーミングアップを終え,自分のところにやってきたときにようやく「10km行くぞ!」と話すと,男子の選手は「よし!」という気持ちが表情に表れたが,女子の方は驚き,気後れした様子を悟られまいと必死に抑え,隠しているように見えた。
男女とはいえ,この2人の5000m競歩の実績にはそれほど差はない。だから,並んでいくことは十分に考えれたのだが,この表情の差を見て,一緒に行くのは無理だなと感じた。思ったとおり,スタート直後から男子選手が先行し,ゴールするとその差は3分にまで広がった。
しかし,これこそが収穫であった。男子選手も先着したとはいえ,5000mの記録から考えるとあまり歩けてはいない。自分が距離に抵抗を感じているということに対する自覚ができたはずである。この1本の経験は必ず次に生きると確信した。
終わった後のクーリングダウンの様子に暗い表情はなかった。今日の練習が,歩きにも走りにもつながることを感じ,次の練習が頭に浮かびあがった。楽しみである。
